1月中旬。
「結城くん、いよいよ明日だな。那由多賞選考会」
──そうですね。先生の作品と並んで候補になど恐れ多いですが
梅川百冬のお宅で、原稿をパソコンに打ち込んでいく。
同行した加納が梅川先生の原稿を眺め、眉間に皺を寄せている。
「『空と君との間には』は連載当初から注目されていた。那由多賞候補にあがって当然だと思った」
──先生の臨場感溢れる作品には及びません。「銀座シャーク」は原稿を打ち込みながら、ワクワクしました
「しかし、鮮やかだな。俺の汚文字が瞬く間に活字になっていく。君が打ち込んでいるのを観ているとパソコンも簡単そうだが……なあ、加納くん」
「はあ。結城さんの仕事ぶりには毎日、溜め息しかでません」
「大丈夫かね、結城くんは今月いっぱいまでだろ」
「不安でたまりません」
加納が口をへの字にし、頼りない声を出す。
「結城くん、いよいよ明日だな。那由多賞選考会」
──そうですね。先生の作品と並んで候補になど恐れ多いですが
梅川百冬のお宅で、原稿をパソコンに打ち込んでいく。
同行した加納が梅川先生の原稿を眺め、眉間に皺を寄せている。
「『空と君との間には』は連載当初から注目されていた。那由多賞候補にあがって当然だと思った」
──先生の臨場感溢れる作品には及びません。「銀座シャーク」は原稿を打ち込みながら、ワクワクしました
「しかし、鮮やかだな。俺の汚文字が瞬く間に活字になっていく。君が打ち込んでいるのを観ているとパソコンも簡単そうだが……なあ、加納くん」
「はあ。結城さんの仕事ぶりには毎日、溜め息しかでません」
「大丈夫かね、結城くんは今月いっぱいまでだろ」
「不安でたまりません」
加納が口をへの字にし、頼りない声を出す。