『編集長、実は父が……』

翌日、俺は出社するなり編集長に事情を話した。

結城コンツェルンの状況、担当している作家たちの状況説明など、できるだけ詳細を伝えた。

一癖も二癖もある作家たちの担当は、後輩にはこなせないだろうと思う反面、人材育成には無茶ぶりをしてもいいのかもしれない。

それを編集長に伝えると、そうだなと頷き「しばらくは芽以沙と」と苦笑いした。

『俺もできる限り同行します。各々へのマニュアルは早急に渡します。此方の仕事は、やり残しがないよう仕上げていきます』

「わかった。未消化分の有給をフルに使ってコンツェルンの仕事を覚えろ。体は大丈夫なのか? 無理をするなよ」

『病院へはちゃんと診てもらっていますから』

編集長は穏やかな表情で「そうか」と呟いた。

父の退院までが慌ただしく過ぎ、コンツェルンと編集部、作家宅へ後輩を連れて通う日々が続いた。