先日、わたしが水を掛けた社員は、わたしと同期の受付嬢が話すのを苦虫を噛み潰したような顔で睨んでいた。
何だか恐いなと思い「先に行くね」と席を立ち、食堂を出た。
思い切り深呼吸したり手足を伸ばしたりしたくて、エレベーターに乗り、屋上に向かう。
屋上に通じる扉を開けると、先客がいた。
ふわふわした薄茶色の髪は軟らかそうで、後ろ姿が何処か寂しそうに見えた。
見覚えのある紺色のキャリーバックが傍らに置いてある。
「──結城さん!?」
わたしが声をかけると、身を捩り振り返って微笑んだ。
『どうした、昼は食べたか?』
「はい……あの、西村先生は」
『カルチャーセンターへ行かれた』
「カルチャー──お話は纏まったんですか?」
『まあな、予定していた先生の新作が没になったがな』
結城さんは気の抜けた溜め息をついた。
何だか恐いなと思い「先に行くね」と席を立ち、食堂を出た。
思い切り深呼吸したり手足を伸ばしたりしたくて、エレベーターに乗り、屋上に向かう。
屋上に通じる扉を開けると、先客がいた。
ふわふわした薄茶色の髪は軟らかそうで、後ろ姿が何処か寂しそうに見えた。
見覚えのある紺色のキャリーバックが傍らに置いてある。
「──結城さん!?」
わたしが声をかけると、身を捩り振り返って微笑んだ。
『どうした、昼は食べたか?』
「はい……あの、西村先生は」
『カルチャーセンターへ行かれた』
「カルチャー──お話は纏まったんですか?」
『まあな、予定していた先生の新作が没になったがな』
結城さんは気の抜けた溜め息をついた。