ガチャリと扉が開きXECEONのマネジャーが顔を出した。

「やあ、結城くん。入って」

結城が「どうも」と口を動かすのをマネジャーは確認し、メンバーに声をかけた。

「由樹さん、どうだった?」

「座って」

「新しい彼女?」

XECEONのメンバーは口々に話しかける。

『良かった。また腕をあげたんじゃないか?』

「ウィーンで頑張っている詩月さんに俺たちも頑張ってるよと、言いたいからね」

『ああ、周桜詩月か。彼、エリザベート国際音楽コンクールのヴァイオリン制覇したな。スゴいよな。楽譜見せてもらってCDを聴いた時は驚いたけれど、まさかエリザベートを制覇してしまうとは』

「うん。詩月さん、来年はさピアノ部門に挑戦するんだよ」

メンバーは結城の手話を正解に読み取り、会話している。