総務部の田中さんが言っていた言葉を思い出した。

あれって本当だったのかと納得しそうになり、そんなの嘘だと慌てて打ち消した。

「どんな喘ぎ声出すんだろうな」

下品な会話だと思う。

聞いていて胸がムカムカし、荒々しく席を立った。

興奮冷めやらぬまま、男子社員のテーブルに歩み寄り、水の入ったコップを手に取った。

「どんな顔して抱かれて……!?」

男子社員の顔を目掛けて、思い切り水を掛けた。

「最低!!」

男子社員は一瞬、わたしを見下ろし「冷た……何するんだ」と怒鳴った。

「失礼なことを言うからです」

「はあ?」

「結城さんはそんなことしません」

「和泉さん!? ちょっと……」

総務部の田中さんがわたしの手を引っ張り、止めようとする。

「田中さん、悔しくないんですか? 結城さんのこと、あんな風に言われて」