結城さんが西村嘉行の原稿に意見したという噂を聞いたのは、コンサート当日の昼だった。
若い男子社員が食堂の隣のテーブルで、ランチを食べ終えながら話していた。
「結城が銀田末シリーズの原稿にダメ出ししてさ。明日、西村先生がお見えになるそうだ」
わたしの耳はダンボになっていた。
「アイツ、涼しい顔してずいぶん大胆な指摘をすると評判らしい。大御所にもお構い無しで」
「西村嘉行、梅川百冬、霜田……大御所ばっかりじゃないか。凄いな」
「あの噂、存外本当なんじゃないか?」
「あー、あれね……綺麗な顔だし華奢だから違和感なさそうだしな」
「とくに西村先生は結城のパトロンだという話は、余所の担当の間では有名だしな」
口に含んだお茶を噴き出しそうになった。
──結城くんはダメよ。彼にはパトロンが居るんだから
若い男子社員が食堂の隣のテーブルで、ランチを食べ終えながら話していた。
「結城が銀田末シリーズの原稿にダメ出ししてさ。明日、西村先生がお見えになるそうだ」
わたしの耳はダンボになっていた。
「アイツ、涼しい顔してずいぶん大胆な指摘をすると評判らしい。大御所にもお構い無しで」
「西村嘉行、梅川百冬、霜田……大御所ばっかりじゃないか。凄いな」
「あの噂、存外本当なんじゃないか?」
「あー、あれね……綺麗な顔だし華奢だから違和感なさそうだしな」
「とくに西村先生は結城のパトロンだという話は、余所の担当の間では有名だしな」
口に含んだお茶を噴き出しそうになった。
──結城くんはダメよ。彼にはパトロンが居るんだから