「ええ、でも調子が悪い時は言うようになりましたし、車の荷台に車椅子も積んで、前よりは無茶はしていないと思いますけど」

「さすがに社内で車椅子を使用するのは抵抗があるようだな」

「でも……由樹、少し明るくなりました」

渡部が「そうだな」と穏やかに言う。

「芽以沙、お前は大丈夫か? 由樹が心配でたまらないんだろう」

「心配でない方がおかしいです。だって由樹の心臓はわたしたちの半分も動いていないんですから」

黒田は悲痛な声で訴える。

「芽以沙。気持ちはわからなくはないが、あいつも考えて行動しているさ」

「でも……」

「芽以沙、お前がそんなショッパい顔していたらあいつが辛い。見守っていてやろうじゃないか、笑顔で。しんどそうにしていたら声掛けて」

「そうですね」