『ええ』


「ただ単に嫌悪感を覚えたのではなく、列記とした理由があるなら、意見するべきだわ」


『わかりました。黒田さん、西村先生に会って話してきます』


「今から? 明日でも……」


『次の流れに影響があるかもしれないし、早いほうが』

結城はパソコンを閉じ、打ち出してきた西村の原稿と共に鞄に入れる。


「西村先生には電話を入れておくわ」


『ありがとうございます』

黒田の目が、結城が出かける準備をするのを追っている。


「由樹、今日はリハビリだろ。間に合うように行けよ」

編集長渡部が、室を出る結城の後ろ姿に言う。

結城は振り向き一礼し、室を出る。


「ったく、退院したばかりだというのに」

渡部が目を細める。


「彼なりに用心はしているようだが、ハラハラするよな」