心電図のモニターの波形が乱れ、警告音が激しく鳴り響く。

廊下をバタバタと慌ただしく鳴らし、看護師が病室の扉を勢いよく開け、結城に駆け寄る。

結城の脈を確認し、結城の口に素早く酸素マスクを当て、酸素ボンベの圧を上げる。


「詩乃さん、あなたが着いていながら何故?」

結城の背を擦りながら、詩乃に訊ねる。


「死にたいなんて、情けないことを言うものだから」

詩乃は苛立ちを隠さず答える。


「……死にたい――」

看護師は背を擦り続けながら、暫く考え静かに話し出す。


「詩乃さん、酸素吸入器を持ち歩くのってね、すごく勇気がいるの。着けないと辛い、苦しい、必要だとわかっていても持ち歩くとなると、とても勇気がいるのよ。みんな躊躇うの。中には主治医に『なんとかなりませんか』と泣きつく人もいるの」