「結城!?」

結城の手際良さに、水嶋も店員も唖然としつつ、負けじと動く。


『あの……』

女子店員の肩を叩き、素早く画用紙にペンを走らせる。


――マジックと色鉛筆とハサミありますか?


「持ってきます」


「結城、何を」

結城は問いには答えず、画用紙に数行ずつ文字を書きこんでいく。


「沢山先生の……お前、全部読んでいるのか? 先生の作品」

水嶋は結城が紹介文を書く速さに驚き、紹介文を覗きこむ。

結城は『当たり前です』口を動かしつつ、頷く。

結城は女子店員がマジックと色鉛筆、ハサミを取りに向かっている間にも、紹介文をさらさらと書いていく。


「あの……万萬先生、沢山先生の作品紹介文、全部お任せしていいですか?」

マジックなどを抱えて戻ってきた女子店員が、訴えるような目をしている。