優しくはにかむ結城さんの笑顔に、キュンとする。

「『空と君との間には』いよいよ発売ですね。予約注文も殺到しているとか」

――ああ、お蔭さまで。同時発売なんてな

結城さんはあまり嬉しそうな顔をしない。

――沢山江梨子との対決企画がなかったなら「空と君との間には」は評価されたかどうか

自信なさげな結城さんの顔が、フッと小さく笑ったけれど、無理をして笑っているように思えた。

結城さんが颯爽としていたり笑顔でいたりすることが、当たり前すぎて気づかなかったけれど……。

本当は誰より繊細で誰より不安を抱えて、辛さを耐えているのかもしれないと思った。

「あの……結城さん、残業がない日とか、リハビリがない日とか、またお誘いしていいですか?」

思いきって言ってみる。

――女子会や合コンはいいのか?

「はい、結城さんと過ごしたいんです」