──つまらないことを考えるな。そんな顔をしているより、笑顔でいろよ

こちらに向けられたメモ用紙に隠れて、見えない結城さんの表情。

──ちょっと、連絡いれてくる

静かに立ち上がった結城さんは、気だるそうで辛そうで、酷く疲れて見える。

紺色のキャリーバックに手を掛け、歩き出した結城さんの足取りが心なしか、ふらついている。

──結城……さん!?

胸に手を当て、ゆっくりと歩いていく。

──リハビリ、結構ハードなんだけど……

結城さんの溢していた言葉が頭を過り、無理をしているのかもしれないと思う。

数分後、席に戻ってきた結城さんは、席を立った時とは違い、元気そうに見えたけれど顔色はひどく青白かった。

──ゆっくり食べていい