「隆司…今の何だよ?」

「え?ああ…お前、見ない方がいいわ。」

隆司がそう言いながら真凛の机を元に

戻そうと机を持ち上げて窓際に運んだ。

「なんだよ…見せろよ。」

俺がそう言いながら

真凛の椅子を持って追いかけた。

「いや…何て言うかさ…知ってた?」

隆司が手に持っていた紙を差し出した。

「え?何が…?」

その紙を見ると太字で

『きえろブス』

そう殴り書きされていた。

「は?何これ…。」

何だよ…これってどういう事だよ。

思わず、目を疑うような言葉に一瞬

何の事か全くわからないでいた。

「真凛ちゃんさぁ…やられてるんじゃね?」

「は?何?」

やられてるって?誰に?何を?

「わかるだろ…?」

「わかんねーよっ!!どういう事だよ!」

「だから…女子にハブられたり……

つまり…いじめられてるんじゃん?

最近、ずっと一人でいるだろ?

渋谷とばっか一緒にいるの

おかしいって思っただろ?」

いじめ…?

真凛が…?

何で…?

「な…何で?何で?誰に…?」

「それは…まだわからんけど…。」

「えっ、え?いつから…?え?」

ガシッ!!!

俺があまりにも動揺しているのを見て

隆司が俺の肩を強く掴んだ。

「落ち着けっ…な?」

「…………ああ。」

そう言って自分の席に戻るとバラバラと

男子が教室に戻ってきた。

「あぶなかったなぁ…

俺らが見つけてよかったじゃん…。」

そう言って隆司が俺の肩をポンと触った。

「なぁ…泰詩…これってさぁ

真凛ちゃんの最近の様子と関係あるよな?」

真凛が学園祭の後から

急によそよそしくなって俺を避け出した事。

岸田さん達とケンカしたらしい事。

渋谷と一緒にいる事。

この前…

雪の中、二人で帰った後

俺は話をしようとしたが

真凛は、何だかよそよそしくて

学校では話をできない日が

続いていた。

…真凛が何か隠しているのはわかったけど

まさか…こんな事になってるなんて…

どうして一言…

相談してくれなかったんだよ。

言ってくれたら…

絶対、助けるのに…。

「なぁ…泰詩」

「えっ?」

「お前さぁ、わかってると思うけど…

ちゃんと考えて行動しろよ?」

「何を…」

俺の答えに隆司が少し呆れた顔をしている。

「は?お前…バカか?」

「バカ?何が…」

「だから…

お前、頭いいんだから少しは考えろよ…

お前がいきなり、でしゃばったりしたら

余計こじれるからな?

ちゃんと考えて行動しないと

真凛ちゃんが辛くなるだけだぞ?」

「…そんなの…っ」

わかってんだよ…。

でもさ…隆司…

俺、やっぱ賢くなんてできないかも…。

真凛に、こんな事するなんて

マジで許さない。

相手が誰でも容赦しないっ。

もう二度とこんな事できないように

してやりる…っ。

でも…俺がした事で真凛が傷つくのは

嫌だ…。

ただ真凛を守りたいだけなのに…。

どうしたらいいかわからない。