「──い、おい」
ん……?
誰か呼んでる……?
重たい瞼をこじ開ける。
すると、目の前にあったのは、凪くんの整った顔。
あたしが目を開いたのを確認すると、安堵の表情を浮かべた。
「お前、寝てたぞ」
「へ」
「ここで寝ると、風邪引くぞ」
凪くんの言葉に、身体を起こす。
パサリと、肩にかけられていた凪くんのブレザーがソファから落ちた。
あたしはどうやら、あのままソファで寝てしまっていたようだった。
「っ、今何時!?」
「20時」
「うそっ」
あれから2時間も寝ちゃったの?
って、お母さんに遅くなるって言ってない!
「お前の家になら、連絡しといた」
「え」
「生徒会の用事で遅くなりますって」
あたしの考えを読み取ったかのように、凪くんは言った。
よ、よかった。
門限厳守、または、遅くなるなら必ず連絡しないと激怒するお母さんからの雷が落ちるところだったよ。