気付けば俺は、走り出していた。


 手には、さっきの流れで持ってきてしまった夕のノートの切れ端が掴まれていて、手の中でしわくちゃになる。


 なんであの時、君を話してしまったのだろう。

 
 なんで、なんで、なんで……!


 早く、早くしねぇと。


 俺の足は、学校に向いていた。



「っは、はぁ、はぁはあぁっ……っ!」



 息が切れて、うまく呼吸が出来ない。


 それでも俺は、歩みを止めない。


 俺は、桜の木を目指して歩いていった。


 運がよかった。


 なぜか、学校の門が開いていた。


 もう学校は真っ暗で、何も見えない。