は──?


 ウソだと思った。


 美桜先輩がいない?


 夕がふざけてるのか?


 それとも、やっぱりさすがに全校の女子生徒のデータは持ってないか。


 
「本当かよ」



 信じられなくて、思わず笑ってしまう。


 だって俺、お前に何回も美桜先輩の話したんだぞ。


 
「つか、美桜先輩って誰よ」



 なんて、とぼけるじゃねぇよ。



「お前、ふざけてんの?」


「は? 何言ってんだよ。
 ハルの方こそ、どうしちまったんだよ。
 言っとくけど、俺の女子の情報は確かなものだからな」



 夕の茶色の瞳は、俺に怯えているのか微かに震えていたけど、ウソをついているようにも見えなかった。