「…………」


 
 沈黙が俺たちの間を支配する。

 
 彼女は、俯いたまま何も言わない。


 腕の中で、動かない。


 どれくらい経ったのだろう。


 
「先輩……?」


「──ん、なさい」


「え……?」


「──ごめんなさい……っ」



 彼女の声は震えていた。


 華奢な身体も同じように震えていて……。


 俺は静かに腕を離すことしかできなかったんだ。


 しばらくして、気まずい雰囲気のまま、俺たちは昼食を取った。


 そして、どちらともなく屋上を後にした。