俺は慌てて頭を下げた。


 すると先輩は慌てて俺に頭を上げさせる。



「あの……失礼ですけど、名前聞いても、いいですか?」



 どうしても聞きたくなってしまった。


 先輩は3年で、もう卒業してしまうというのに。


 ただ、シャーペンを拾ってもらっただけなのに。


 俺、変かな。


 それでも、胸は謎の音を立てている。


 先輩は優しく笑って……。



「美桜(みおう)……」



 キレイな声で、そういった。