「これ……」



 彼女が立ち上がり、ようやく顔が見えた。


 大きくてつぶらな潤っている瞳。


 桜色の小さな唇から、さっきの声が出たのだろうか。


 サラサラな黒髪が、開けた窓から入ってきた風よってそよぐ。


 その細くて華奢な腕は、こちらに伸ばされていて、可愛いらしい手の平の上には、拾ってくれたのであろう、俺のシャーペンが乗っかっていた。


 そこには、一人の女子がいた。