* 「おーい、ハル! 来いよ!」 「おう! 今行く!」 遠くで幼なじみが呼んでいる。 ハル──俺は、慌てて大声で返した。 俺たちがいるのは中学校。 あと一週間で、卒業式だ。 ここらへんは最近までどか雪が降っていて、桜は蕾すらついていない。 卒業っていったら、桜なのにな。 バスケ部に入っている俺は、今は練習がないものの、自主練をしていて早く体育館に行こうとしていた。