凪くんの顔は、真っ赤だった。


 
「──渚(なぎさ)」



 柔らかく笑った凪くんは、あたしの名前を呼んだ。


 ときん、と胸が高鳴る。


 
「凪くん──好き」



 そう囁くと、



「……俺も」



 そういって、凪くんは恥ずかしそうに笑った。


 キュッと彼の制服を掴むと、凪くんはあたしをその大きな身体で包み込んだ。


 彼の匂いに包まれて、心が満たされる。


 遠慮がちに彼の背中に腕を回すと、凪くんは腕の力を強めた。



「渚」



 名前を呼ばれて顔を上げると、目があって……。


 二人の影が重なった。


 伝わったのは、ミルクティーとコーヒーのほろ苦い味。

 




 そして次の放課後も、生徒会室では二人だけの秘密の逢い引きを。





──END