あれ?忘れものですか?
あなたらしいですね。
それで何を忘れたのです?


……えっと、にこにこしてるだけじゃ分かりませんよ。
あっ、そんな所に居ないでどうぞお上がり下さい。また一緒にお茶でもどうです――











――はっと気付くとそこは見慣れた天井だった。

良くある事だ。そう思ってゆっくり起き上がるとまだ辺りは薄暗い。女房達はまだ寝ている時間だ。

春はあけぼの…なる程ね。
はぁ、今日はなんだか損した気分だわ…
あなた様と会っていたのに、それが夢だなんて。
あぁ、だから返事をくれなかったのね。