それから、結衣と青年の二人、毎週日曜日、公園のベンチに座り語り合うのが日課になっていった。

「ねぇ、いい加減名前教えて?いっつもはぐらかすんだもん」

初めて会話してから今日で会うのは5度目。

青年はいまだに彼女に名前を明かしていない。

「う~ん、名前なんて必要ないと思うけど。じゃあ、ユキって呼んで」

ユキ?

「ユキって、あなたのあだ名?」

「初めて話した時、雪の降る音だって聴こえるって結衣が言ってただろ?だから、ユキ」

「変なの。ま、いいや。じゃあ、ユキ!あの曲聴かせて!新曲のすっごい切ない曲」

ユキはギターを手に取り、結衣の隣でギターをかき鳴らす。

切ないメロディー。

愛する人に会えない切なさ。

そんな想いが伝わってくる。