それから一年。
俺は29歳。凜は23歳になった。
両親は相変わらずの海外暮らし。親父の会社はまた一段とデカくなった。俺が記憶を無くす前、親父の後を継ぐ為ニューヨークを拠点として働いていたらしいけれど、今となっては時期社長だなんて大それたものになりたいとも思わないし何より日本を離れたくなかった。
「お兄ちゃん!起きて!遅刻するからっ。」
この声の傍に居たい。
「もう、ホント朝弱いんだから…あたしだって朝忙しいんだからたまには自分で起きてよねー。」
「……スーツ取って…」
「ゴロゴロしないで起きてってば!」
「…凜…何でそんなに朝からカリカリしてるんだ…肌に悪いぞ…」
「誰のせいよ!!」
バフリとスーツを俺の顔面にヒットさせて部屋を出ていく。
今日も元気だな…目をこすりながら俺は起き上がった。
.