失礼のないようにと背筋を伸ばしたとき、エレベーターが地下に着いたので、四人とも降りる。向かい合ったところで、私は再度背筋を伸ばして頭を下げた。


「こんばんは。野々宮夕美と申します。よろしくお願い致します」


短い挨拶しか言わなくて、大丈夫かな。要さんと同じ人事部にいるとか話したほうがよかっただろうか。よろしくと言ってしまったけど、図々しかっただろうか。

どうすることが正解か分からなく、助けを求めるように要さんを見た。要さんは優しく笑って、私の背中に手を添える。


「夕美は今年、うちの会社に入社したんだよ」


「まあ、真面目そうでかわいい方ね。こちらこそよろしくね」


「そうか、うちの会社の新入社員なんだね。それはそれは、会社ともどもこれからもよろしく」


要さんと同じように二人とも優しく笑ってくれたけど、私の心はまだ不安でいっぱいだった。


「また、今度改めて家に連れていくよ。これから夕美を送るから。父さんたちは中華を食べたの?」


フレンチレストランの下の階には中華レストランと寿司店があった。


「そうよ。先に帰ったけど、涼たちも一緒だったのよ」