本当は帰りたくない。あんなやつが居る家なんて。どうせ家に帰ったらまた縛られて暴力をふるわれるんだから。だけどこれ以上、愛海に心配掛けたくなくて、喉まで出かかった言葉を無理矢理心に押し込めた。
………コツコツコツ………カラカラカラ
後ろの方で、何人かの足音と、何かを引きずっている音がする。どうしよう。後をつけられてられる。走ろうと思った瞬間 ガンっ!私は頭を殴られ意識を手放した。
『………う…ん。』
えっ!?ここ何処?私は勢い良く起き上がった。
『いっっっっ!』
「ゆっくり起きなきゃダメだよ藍月雫ちゃん。笑」
私の近くに居た一人がニタっーと笑って話しかけてきた。
『誰あんた?ここ何処?』
「俺か?俺はゼロの総長の新庄聖夜だ。よろしくね雫ちゃん」
そう言って新庄聖夜はまたニヤッと笑った。
やばい!逃げなきゃ!でもここ何処?
「残念だけど、ここからは一歩も逃げられないぜ。なんたって鎖で繋がれてるもんな」
『何がしたいのよ!さっさと鎖を解いて!』
「それは無理だな」
『何で!?』
「青藍という暴走族を知ってるか?」
『知ってる』
「だったら話しは早い俺は青藍のボスの蓮杖翔を潰したいんだ。」
『あんた頭いかれてんじゃないの?大体なんで私が誘拐されてんのよ!私は関係ないでしょ』
「あぁ関係ないな。でも恨むなら蓮杖翔を恨むんだな」