「…やれ」


赤髪ヤンキーのその一言で
彼の仲間は、バットを平気で振りかざした。


「おまえの強さ、知ってんで。
…はよ本気出せや。やないと、大怪我するで」


「ッ……」


向かってきたバットを
あたしは咄嗟にかわす。


でも……手は出せない。


…あたしはもう……ヤンキーじゃない。


「ッ…お姉ちゃんを虐めるな…!」


小さな拳をギュッと握りしめて
子どもは、ヤンキーたちに向かって
そんなことを言った。