__「ゆい」



朝は何事もなく訪れた。


愚図り出す結の胸を叩いて名前を呼ぶ。





視線はしっかり俺の目を捉え、正常な反応があってホッとした。






「よしよし…」



触れる肌は熱く、熱が高いことは安易にわかる。





「うッ…、ゔッ…」



顔を真っ赤に染めて泣き出してしまいそうな結の体を抱き上げるが、逆に背中を反らせて大号泣。



「えぇ…、パパだよ」







背中をさすりながらリビングへ行くと、朝食の支度をしていた陽が困った顔をした。



「あぁ、泣かせた…」


「…ごめん。泣かせるつもりなかったんだけど」


「でも朝から機嫌悪いんだ。グズグズしてるの」


「具合悪いんだな…、可哀想に」






涙と鼻水でグチャグチャになる顔をティッシュでそっと拭いてやり、額に手を当てた。






「はい、お待たせ。私代わるね」



朝食の準備を終えた陽が手を伸ばし、小さな体を陽の腕の中へ。



「陽、ゆいの体温測ってみて?」


「わかった」







そうして俺は手を合わせ、 "いただきます"



陽の分が用意されていないことは引っ掛かるけれど、陽の食事を朝早くから食べられることは幸せだ。





しばらくすると体温計の電子音が鳴り、陽が戻ってた。





「ちょっとだけ下がったけど…」



陽が差し出した体温計の表示は『37.7』



「痙攣起こした時38度超えてたもん…、薬のおかげかな…?」


「そうだね。もう少し様子見」


「うん。早く下がるといいね…」





陽がそうやって声を掛けながら頭を撫でると、結は徐々に落ち着きを取り戻した。