久しぶりに帰宅した。
玄関に入ると、元気な夏来の声が聞こえる。
「…ほら」
先にリビングへ入るよう促され、少し心臓が早くなる。
どんな顔をするのかな。
リビングのドアを開けて歩いていくと、愛優と絵を描く夏来の姿があった。
名前を呼ぼうとする前に、愛優と目が合った。
「あ…ッ、夏来」
愛優が夏来の肩を叩くと、夏来は振り返り目を見開いた。
「ママ!」
走ってくる小さな体を胸で受け止め、両手でギューッと抱きしめる。
「ただいま」
「おかえり!」
この笑顔を見るため。
この声を聞くため。
何かを頑張る理由。
入院生活を耐えられた理由。