数分後、冷却シートを手に陸くんが病室にやって来た。 前屈みになっていた体を起こされると、タオルで涙を拭われる。 「季蛍さん」 夜中と同じように、背中に手のひらが当てられる。 「季蛍さん大丈夫ですよ。真似してください」 陸くんの呼吸を真似て息を吐き、震える指先は彼が握ってくれる。 「大分泣いてたんですね…?」 目の腫れを見た陸くんに気づかれ、何も返せない。 泣いてばかりで弱いって…? そう思われて当然だって。