「8度5…」
少し強引に測った体温を確認し、小さなため息が出る。
病院に行かないという選択肢は俺の中から消えているのだけれど。
「袖、通して」
何も言わずに着替えるのを手伝うと、素直に袖を通してくれた。
「今日だけ頑張ろう?薬飲んだら結に会える」
「…男の先生じゃなければ」
弱々しい声が聞こえて、陽は顔を背けて俯いてしまった。
「あぁ、なるほどね」
しばらくその場で考え込んでしまったけど、できる限りその通りにしてあげたい。
そんな気持ちもあってか、何の確認もしないまま頷いた。
「わかった、なるべくそうする」