気づけば年は明けていた。
賽銭箱の前にはかなりの人が並んでいて、俺らもそれに並んだ。
長いはずの待ち時間はボーッとしている間にどんどん過ぎていき、もう次の次くらいまで来ていた。
「私、何お願いしようかなあ!!」
楽しそうにそう言う声がいろんなところから聞こえてくる。
俺は何を願えばいいんだろう?
今さら何を願えばいいんだろう?
自分の恋なんて願っても意味ねぇし。
塚田と瀬川が上手くいきますように…とか?
うわ…
ダサッ。
てかイヤだわ…
「おい、早飛、お前の番だから。」
「あ…悪ぃ……」
賽銭箱の前に立って数秒考えた。
出していた50円玉をポケットにしまって財布から新しい小銭を出す。
この願いは、叶えてほしいけど叶えてほしくない。
だから10円玉で勘弁。
“瀬川の恋が上手くいきますように”
唇を噛み締めながらそう願った。
キミが笑っていられればいい。
本当のような、嘘のような…
そんな言葉を呟いた。