「瀬川と何かあった?」
高野が耳元で聞いてくる。
「ねぇよ……ありえねぇだろ?普通に話すこともできないのに何が起こるんだよ……」
そうだよ…
何が起こるんだよ…?
話もできないくせに何期待してんだよ?
最初から叶わない恋だったじゃねぇか…
何落ち込んでんだよ…?
何傷ついてんだよ…?
「……お前、諦めんの?」
「知らねぇよ…」
聞くなよ…?
イヤなんだよ…
俺だって……
「ふぅ〜ん。お前の好きってその程度だったんだな。」
その程度…か……
「そうだな……」
「早飛!!お前、本気だったんじゃ……」
その程度なら良かったよ…
最初から叶わないってわかってる恋で。
視線の先にはいつも違うヤツがいて。
どんなに願っても笑顔すら向けられなくて。
嫌われてるかもしれなくて。
今、彼女の恋が叶いそうで。
それだけで諦められる程度の好きだったら良かったよ…
「早飛…」
「その程度だよ…。俺の恋なんて…」
いつの間にか笑うことなんて忘れてた。
そしたら一気に“切ない”ってキモチが溢れ出してきて。
涙を堪えるので必死だった。