『何かわかんねぇけど早く来いよ。』


「なぁ、高野…今、何時か知ってるか?」


『えっ…?11時25分くらい……?』


「だよな……時間、とっくに過ぎてんな…」


『そうだよ…。早く来いよ?』


「おぅ…」


ツゥー、ツゥー、ツゥー、……


耳に響く無機質な電子音。


電話を切ったのは俺。


それなのに携帯を耳から離すことができなかった。




「過ぎてんだよ…時間……。なのにアイツ、ここにいんだよ……」


高野にはもう聞こえてないのに、俺は一人で呟いていた。