あのクリパ以来、瀬川には会っていない。
あの日、瀬川は泣いていた。
結局、俺には一度も笑顔を見せてくれなかった。
何で笑ってくれないの?
そう聞きたくても聞けなかった。
俺が“梨々”って気やすく呼んだのイヤだった?
俺と二人でいるのがイヤだった?
やっぱまだ、塚田のこと好きなの?
ちゃんと聞けば答えなんてすぐにわかる。
でも聞けなかった。
本当のことがわかってしまうから…
知ってしまうことが怖かった。
“うん”
そう言って作り笑いする彼女の姿が目に浮かんで…
本当のことを聞く勇気がなかった。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…