「梨々さ、高野ん家に上着忘れてったでしょ?」


駅前のファミレス。


約束の2時を大分すぎてからやってきた弓菜は、まるで何もなかったようにごく自然に話しはじめた。


クリパのときのこともあって、何も言えなかった私は食べかけのプリンを口にした。


「あっ!!気付かなかった……てか、何で今頃…?」


「あぁ、なんかさ、初詣んとき渡せばよくない?ってなってさ。」


初詣……?


「あれ、言ってなかったっけ?」


きょとんとしている私を見て弓菜は確かめるようにそう言った。


「だから、何のこと?」


「あー……いや、高野たちがさ、初詣もまた一緒に行かない?って言ってて……」


「えっ…?わ、私も……!?」


「うん。」


「それってもちろん今井クンも……?」


「来るよ。」


「嘘…」


あまりに突然すぎて、しばらく固まっていたら、弓菜が顔を覗き込んできた。


「イヤ?(笑」


ニヤニヤしながら聞いてくる弓菜に、真っ赤になりながらひたすら首を横に降り続けた。