「何で…?ジュース買いに行ったんじゃ……」


いまいち状況が掴めていないのか、キミはきょとんとした顔をしていた。


「財布、忘れたの…気付いて……電話きて。瀬川、持ってかせたって聞いて……」


走ってきたのと緊張とで上手く話せなかった。


「でも、なかなか来ねぇから……何かあったんじゃないかって…心配で……」


嘘じゃん…


なかなか来なかったなんて嘘じゃん。


一秒だって待ちやしなかったじゃん。


キミが俺のとこに来るって言われて、おとなしく待っていられるわけがない。


でも…


こんぐらいの嘘、いいよな?


こんな、余裕ない格好悪い姿、見られたくねぇもん。




はぁはぁと息切れしてる俺に、


「ありがと……」


って小さく呟いたキミの声がすごく可愛くて。


息を整えると同時に顔を上げた。