先に部屋に入ると、一番端の席に座った。
「あっ、瀬川もしかして今日化粧してる?」
高野の言葉に思わずビクッとした。
瞬間的に彼女に視線が集まって、それがすごくイヤだった。
「あ、うん。あんまやったことないから下手だけど…」
「いやいや、そんなことねぇって。普通に可愛いって。」
高野の言葉に彼女が顔を赤らめる。
そんな姿に、俺の胸は締め付けられるように苦しかった。
「ハハッ。真っ赤になっちゃった。可愛い。」
必要以上に可愛いを連発する高野に怒りが増しながらも、俺の視線の先には顔を真っ赤にした彼女の姿。
何で…?
何で俺とは話してさえくれないの?
目、逸らしたりすんの?
何で化粧なんかしてきたんだよ?
オシャレしたのは誰のため?
「俺、ちょっと買い物いってくるわ。ジュース、足んねぇし。」
頭の中をグルグルグルグル駆け回る疑問。
それが口にでてしまいそうで、俺は席をたった。