「おっ、いいねぇ。」
「だろ?」
なぁ、何で?
矢島や吉川は笑顔で頷いてくれるのに。
何でキミは俺を見てさえくれないの?
「私も賛成!!いいよね、梨々?」
何で?
何でそんな困った顔すんの?
「えっ?私も?」
驚いたようにそう言ったキミに、本当は余裕なんてないくせに、無理に格好つけようとして。
「……イヤなら来なくてもいいけど…強制じゃねぇし。」
笑ったつもりなのに上手く笑えなかった。
「梨々も行くよね。てか強制だし。」
「えっ、あの……」
「わかった。んじゃ、明日な。また連絡するわ。」
最後にそれだけ言って教室を出た。
矢島の強引さに感謝した。
あそこで断られたりしたら、俺、相当へこんだと思うから。
「よかったじゃん。」
廊下で立ち聞きしてた高野がからかうようにそう言った。
「本当に来てくれんのかな……」
彼女の困った顔が頭から離れなかった。