「今日で二学期も終わりだ。明日から冬休みになるが、ハメをはずしすぎないように。」


そんなことを考えているうちに先生の長い話は終わってしまった。


クラスの連中がどんどん下校していく中、俺はまだ誘えないでいた。


「早飛、早く行ってこいよ。」


そんな俺を見兼ねたのか、高野は俺の背中を思いっきり押した。


ドンッ


横にあった机に思いっきりぶつかってコケた。


「うわっ、早飛、大丈夫?」


目の前にいた矢島が驚いたようにそう言った。


「早飛ダサい。」


振り返った吉川は腹を抱えて笑い転げていた。


そんな二人の横で、俺を見つめる彼女の瞳。


思わず顔が赤くなる。


真っすぐ見つめられ、恥ずかしくなって頭を掻きながら目を伏せた。


「梨々、大丈夫?」


「あ、うん……大丈夫。」


自分が呼ばれたわけじゃないのに、思わずビクッとした。


“梨々”


当たり前みたいにそう呼べる二人が羨ましかった。