ガチャッ


ドアを開けると同時に二人が近寄ってきた。


「梨々、いつまで待たせ……」


そこまで言うと二人同時に固まった。


「えっ?どうしたの?」


状況が掴めず二人を交互に見回していると、弓菜が驚いたように口を開いた。


「アンタ、メイクしてんの?」


「えっ、うわ、やっぱ変かな?」


慌てて顔を隠すと、今度は七海がつぶやいた。


「びっくりしたぁ。すっごい可愛い。」


「ほ、本当?」


黙って頷いた二人の優しい笑顔に何だかすごく安心して、急に恥ずかしくなった。



「でもさ、何で急にメイク?早飛に可愛いって言われたかった?」


冷やかすように七海が言う。


「昨日、ドラマの再放送で泣いちゃって。目、腫れちゃったから。それを隠すのに…」


「ふぅん、再放送ねぇ…」


弓菜と七海はたぶん嘘って気付いてるんだろうな。


そう思いながらも、何も聞き返してこない二人の優しさに私は甘えた。