「梨々ぃ、まだぁ?」


「待って、もうちょっとだけ…」


弓菜と七海はさっきから外で怒鳴ってる。


理由は簡単。


私の支度が遅いから。


予定外だった。


普段メイクもほとんどしない私は、もちろん今日もノーメイクの予定だった。


なのに…


朝起きて鏡を見たら、目が真っ赤に腫れていた。


昨日泣いたせいだってことはすぐわかった。


別にこのまま行っても構わないんだけど。


でも、いくら好かれたいなんて望まないって言ったって、少しはよく思われたい。


少しでも腫れを隠したくて、朝ご飯も食べずに奮闘した。


「梨々ぃ〜!?」


「待って、もう終わる。

よしっ!!」


「梨々ー!!」


「わぁー今行くぅ!!」


さっき以上のド迫力に思わずイスから転げ落ちそうになった。


「いってきまぁす。」