「そっか。じゃあな。


早飛、がんばれよ…」


「おぅ…。」


俺の返事に満足そうに微笑むと、高野は陽太を連れて帰っていった。






一人になった教室で、俺は深いため息をついた。


「何やってんだろ…」


勢いで残ると言ってしまったものの、正直どうしようもない。


だって、俺が学校に来たときにはもう、彼女はここにいなかったのだから。


名前も書いてないあんな手紙のために、わざわざ戻ってくるなんてことはきっとないだろう。


そんなことくらい、考えなくたってわかる。


きっともう、彼女は来ない。


つまり、俺の告白は失敗。


そんなこと、分かり切っている。


分かり切っているけれど、それでもすんなり帰るわけにはいかない。


長い間秘めていた想いを、やっと伝える決意ができた。


やっと一歩踏み出せた。


簡単に諦めるわけにはいかない。


今じゃなきゃいけない。


そう思った。