「早飛?授業もう終わったぞ。」
頭上から降ってきた声にハッとした。
顔をあげれば不思議そうに俺を見下ろす陽太と、心配そうな顔をした高野の姿。
二人のさらに向こうにある時計は、すでに4時をさしていて、教室には俺ら以外誰もいなかった。
「あ…。もうみんな帰っちまったんだな…」
ガランとした教室をもう一度見渡しながらそう呟いた。
静かなせいか、声がよく響く。
教室って意外と広いんだな…
余計なことを考えたくなくて、ボーッとそんなことを考えてみる。
「てか、早飛、帰んねぇの?」
俺の呟きをまるで無視して陽太が聞いてくる。
顔を覗き込む陽太の顔は、相変わらず間抜けで。
思わず笑いそうになりながらも口をギュッと結んで何とか堪えた。