「あぁ、眠ぃ〜」
「てか俺、寝てたわ。」
5限の睡魔と戦ってたほとんどの子たちは一斉に机に倒れこんでいた。
そんな中、教科書やノートをカバンに詰め込む私。
パンパンになったカバンのチャックを何とかしめると、同時にイスから立ち上がった。
「あれ、梨々どうしたの?」
授業中寝てたのか、ちょっと擦れ気味の声で七海が声を掛けてきた。
「ちょっと体調悪くて…」
そんな嘘をついてカバンを持ち上げる。
「そっかぁ、お大事にぃ。」
心配そうな顔をしたクラスの子たちに小さく手を振ると、重い足を引きずって教室を出た。
本当は体調なんて悪くなんかない。
ただ怖かった。
放課後、誰もいない教室には私一人。
時間はどんどん過ぎて、最後のチャイムを一人で迎えるんじゃないか…?
彼は来ないんじゃないか…?
そんなことが頭を過って、怖くなった。
またあんな辛い思いするんじゃないか…
また失恋するんじゃないか…
想像するだけで怖かった。
怖かったんだ…
大好きなはずのあの放課後の教室が…