何だろうと思って拾い上げたそれは、七海が嬉しそうに見つめていた、あのキャンディだった。


もう一度机の中に手を突っ込んでみると、今度は白い紙。


小さく折られたそれを開いた瞬間、思わず固まってしまった。








小さな紙に、小さな字で書かれた、


【 放課後、教室で待ってる。】


の文字。


名前は書かれていなかった。


でも…


私の頭に浮かんだのは、大好きな人の顔だった。




ねぇ、こんなことされたら期待しちゃうよ?


ねぇ、私があなたをどれだけ好きか知ってる?


あなたの字くらいわかるよ?


ねぇ、夢なのかな?


なら…


覚めなければいいのに。








一度戻した視線を、もう一度隣に向ける。


まだ来ていない彼の顔が頭に浮ぶ。


ふと胸に手を当ててみると、少し早くなった心臓が、ドクンドクンと音をたてていた。