「ダッセぇの。ここまで言われても何も言えないんだな?やっぱお前の好きってその程度なんじゃん。」


ふと耳に届いた声は、まるで俺を嘲笑うような冷たい声で。


相手が高野だってことも忘れて本気で睨んだ。


「その程度のくせに、何ムキになってんの?」


その程度?


んなわけねぇだろ?


「…ざけんなよ……その程度だったら悩んでねぇよ!!」


中途半端に好きって思ってるわけじゃねぇんだ。


好きだから悩んでんだよ。


悩んでばっかで、ありえないくらい臆病になって。


そんくらい好きなんだよ。


「勝手に告ればいいじゃねぇか…」


だからさ?


「えっ…?」


「お前になんか負けねぇ。」


負けてなんかねぇだろ?


ベタすぎるかもしれないけどさ?


使い古された言葉みたいだけどさ?


好きってキモチだけは負けてなんかねぇだろ?


負けてたまるかよ。


「負けねぇから。」


そう言って思いっきり睨んだ俺に、高野はフッと少し笑うと、


「まぁ、頑張れよ」


と一言だけ言って、さっさと歩いていってしまった。