「早飛ぉ。遊び行こぉ〜?」
どこから出してんだって言いたくなるような猫なで声に、重い頭をゆっくりと持ち上げる。
「カラオケとかさぁ、行ってないじゃん?最近。」
ダルそうに俯いた俺の顔を、下から上目遣いで見つめてくる。
顔が近すぎるせいで、香水や化粧の嫌な匂いが鼻にきて、思わず顔を歪めた。
「気分じゃねぇし…」
そう言いながら、俺の目はクラス中を見回していた。
教室に瀬川の姿はない。
そうわかるとホッとして片が軽くなる。
変なの…
別に気にする必要ねぇじゃん。
もう、諦めるんだから…
もう、止めるんだから…