「じゃあ、席替えします。」


……はぁ?


「えっ、担任何て?」


「席替えだって。」


先生の突然の言葉に教室が騒つきだした。


「えっ?何で?」


「何言いだしてんの担任?」


どこからともなく聞こえてくる疑問の声。


それを代表するかのように声を張り上げたのは、さっきまで机に伏せていたはずの高野クンだった。


「先生ぇー、もう三月じゃん。今頃席替えってどうなん?」


高野クンの声に教室の騒めきは一瞬にして収まる。


「いや〜、三学期の最初に席替えすんのすっかりわすれててさぁ。他のクラスより少なかったから最後にもう一回だけしてみようと思って。」


「なんだよ、それぇ〜」


二人の会話が終了したと同時に一気に騒つきを取り戻した教室。


「気紛れじゃん。」


「つか担任適当すぎじゃね?」


近くで交わされている会話を聞き流しながら、私はただボーッと何も書かれていない黒板を見つめていた。