制服のポケットの中には、あの日私を地獄に陥れた張本人が未だに居座り続けている。
サッカー部のみんなとお揃いの青い携帯ストラップ。
捨てることも返すこともできずにいる。
遠かった距離はさらに遠くなって、今ではこのストラップだけが私と今井クンの繋がり。
そんな気がした。
捨ててしまうことも、こっそり返すこともできないのは、繋がりを失いたくないからなのかもしれない。
繋がりなんて捨ててしまえばいいのに、私にはどうしてもそれができない。
まだ、好き…
忘れられないよ…
思っているだけでいいから。
だからまだ、見ていたい。
そんな思ってもいないようなことを何度も繰り返しながら、ポケットの中のストラップをギュッと強く握り締めた。